しじみの基礎知識

しじみの種類と生育環境

しじみの種類

しじみの水揚げトップを誇る宍道湖は、島根県の松江市から出雲市にまたがる湖です。その分類は海水と淡水が混ざってできる汽水湖で、日本で穫れるしじみの約80パーセントが、この汽水湖で大きくなる「やまとしじみ」という種類です。
しじみの旬は夏。土用のうなぎと同じように“土用しじみ”とも呼ばれています。

日本で穫れるしじみは、やまとしじみ以外にもあります。
淡水の砂底を好んで生息する「ましじみ」は、河川の中流から上流域に住むしじみ。黒くツヤのあるやまとしじみに対して、ましじみは明るい色をしています。
「せた(瀬田)しじみ」はもともと琵琶湖水系にしか生息していなかった固有種です。雌雄同体で一匹でも増殖するという珍しいしじみで、関東ではあまりお目にかかれません。

しじみと並んで日本人に親しまれてきた貝に、あさり、はまぐりがあります。どちらも江戸前の食材として好まれてきた貝ですが、しじみは日本で多く流通されていました。生活に近い場所で収穫できたしじみに対して、海辺でしか穫れないあさりとはまぐり。特に、冷蔵庫がなかった江戸時代には、どこでも穫れる手軽さが人気の明暗を分けたようです。

しじみの栄養は山と太陽の恵み

しじみは濃い海水では育たず、汽水域と呼ばれる特殊な水域で育つことをお話ししました。汽水域とは真水と海水が混ざり合う水域のことで、河口や湖に多く分布します。
この水域の特徴を一言でいえば「河口の栄養タンク」。河川によって陸から運ばれてきた栄養塩が、海に出る手前で一旦貯留するのです。そこで一時的に栄養の宝庫となったところに太陽からのエネルギーが注ぎます。すると植物プランクトンが大量に繁殖し、しじみはこの植物プランクトンを栄養にして育つのです。
自然の恵みを体内に十分に蓄えることができる滋養の水域は、良いことばかりではありません。この水域は気象にともなう変化が大きく、多くの生物にとってたいへん厳しい生息環境です。そうした過酷な環境下、しじみがたくましく生き延びることができたのは、湖底や河底であらゆる変化にも対応できる能力を持っていたからです。古くから自然界を生き抜いてきたしじみは、厳しい環境に順応することで現代でも多くの人に愛される存在となっていたのです。

しじみの産卵〜成長まで

厳しい環境で成長したしじみは、やがて産卵の時期を迎えます。しじみの産卵期は水温や水域によっても前後しますが、およそ7月〜9月が中心です。15ミリ前後で成熟したメスは10万個以上もの卵を生みます。
赤ちゃんしじみは浮遊生活を送り、その後、河底に移行して大きく成長します。最もよく成長するのは春から秋、冬の間は成長が止まります。

しじみのオスとメスの見分け方があります。外からの見た目では区別できませんが、殻の中の身にある生殖器の色が、白がオス、青黒色がメスです。

※琵琶湖の固有種である「せたしじみ」は雌雄同体のため繁殖生態は異なります。